第29回 労使セミナー
平成26年1月16日(木)15時より、ホテルラングウッドにて労使セミナーを開催いたしました。
労使セミナーは、労使に共通の課題や取組について、講師を招いて勉強する、というもので、今回で29回目を迎えることになりました。
今回の講師は、ネクストスタンダード代表の齋藤正明先生で、
「日本一のマグロ船から学んだ!職場をよりイキイキさせるコミュニケーション」
と題して講演いただきました。
もともと生魚が腐りにくくするための鮮度保持剤の開発を仕事にされていたという齋藤先生、ある時上司の無茶ブリでマグロ船に乗り込むこととなりました。
マグロ船に乗り込んでの生活なんてまるで想像もつかず悪いイメージしかなく、悲壮感漂わせながらいざ船に乗り込んでみると、船長をはじめ他の乗組員はイキイキと働いていたのです。
1人当たりのスペースが2m2程しかなく非常に狭い生活空間で、しかも一度海に出ればしばらくは陸に上がれない状況です、いったいそこにはどんな仕組みがあるのか、それを教えて頂きました。
まず基本的に、「船にあるもの」と「そこにいる人」で何でもやらなければいけない、ということ。だからこそ楽しく仕事をし、成果を上げる工夫をしなければいけない、というです。
その船では船長のいう事(指示)には誰もが従うのです。企業では当然と言えば当然ですが、それは所属長や部門長が出来ることを部下にやらせている、というものです。しかしこの船長は、「マグロは一人では獲れない、みんなの協力があって成り立つ。だから、自分より仕事ができる船員をより多く集める」のだそうです。何でも出来ることを売りにしていると、出来ない人間を必要以上に責めてしまうという事態に陥ることが多いそうです。
普段上手く仕事が出来ない若手船員が、失敗続きで他のみんなに迷惑をかけていると思い、委縮してしまうとそれだけで居場所が無くなってしまいます。小さな成功体験を積ませ、居場所や役割を与えるのが船長だと言うのです。そのうえで叱るなどしていくそうです。
これは企業においても言えることで、きちんと能力や才能を認める、居場所・遣り甲斐を与えることが若手社員をイキイキと働かせる要因となり、離職防止にもつながります。それによって企業にも活力が出るのです。そして、気にかけている、構っていることが大切で、それが指導や注意といったことに偏らず、必ず同じくらい褒めてあげることが、構ってもらっている、見てくれている、という意識に繋がるのです。
「ありがとう」は「有り難い」「有り難し」から派生したもので、本来もともと「めったにない、珍しくて貴重だ」という意味です。しかしそれは慣れてくると、「当たり前」になります。「当たり前」は高い理想からは物足りないものになってしまい、本来の素晴らしさが見えなくなってしまう、ということに繋がります。
小さな成功体験を積む、それを褒める雰囲気、器量、そして伸びてくる技術力、こうした好循環が企業をも育てていくことになる、ということです。
齋藤先生のお話を聞いていて、本来「有り難い」ことが当たり前になることによって、その当たり前の部分よりも欠けている部分に目が行ってしまう、当たり前のところが見えなくなる、というところは本当に気を付けなければいけないところだと感じました。
講演でお忙しく全国を飛び回られている先生には、貴重なお時間をいただき勉強させていただいた上に、懇親会にまでご出席いただきました。この場を借りて心より御礼申し上げます。また、当日ご出席くださいました団体、企業の皆様にも厚く御礼を申し上げます。
挨拶をする山下議長 | 講演中の齋藤正明先生 |
乾杯のご発声、 フジタ道路㈱須藤取締役総務部長様 | 恒例となった静中央執行委員の発表 |